>更新を頑張らざるを得ないように拍手をしてみる てめえ! ありがとうございます!!
拍手で叱咤されてしまっては仕方ありません、更新しますとも。
今日はちょっとツイッターにてリクエストされたものをちょちょいと。
今日一日で終わらなかったので次回へ続くのですけれどね!
経験者にはゲームの雰囲気が、未経験者にはどういうゲームなのかが伝わってくれればこれ幸い。
モンハン日記 ―激闘! イャンクック ①―
潮の香る海辺の街、その船着き場から出る、沖へ向かう船に乗って数時間。
陸地から遠く離れ、連なる山々すら見えなくなってきた頃、代わりに見えてくるものがある。
一つの島だ。
大きさはそこまでのものではない。人の足でも、十分もあれば回り切れる程度のものだ。
波が寄せては返す涼しげな海岸から少し進めば、木々が生い茂る熱帯の森が姿を現す。
自然のままに育ち、膨れ上がった自然が根付くその風景は、人の心の奥底に眠る、失われたはずの何かを震わせるような、深いものを宿していた。
もちろん、根付くのは自然ばかりではない。
虫や甲殻類、哺乳類など、島の亜熱帯の気候に適した多種多様の生物もまた、この孤島の生態系を形作る、重要な構成物だ。
中には乾いた気候の陸地ではまず見られない生物も生息しており、王国の学者も時折船を出し、この地に足を運ぶことがあると言う。
潮の引く時間帯にできる、砂の道の奥には、いつ建てられたかもまだ定かでない朽ちた遺跡があり、これもまた歴史学者の興味を大いに刺激するものだ。
太古の昔の記憶を抱く、じっとりとした熱に満ちた、暗き深緑のその地を、人は短くこう呼ぶ。
「密林」、生い茂る木々が行く手を阻む、自然の砦と。
「……見つけた」
島の中央、薄暗い洞窟の中、ひんやりとした壁に身を寄せながら、女が呟いた。
白銀と黒が目を引く鎧を身を纏う女だ。帽子の下に見える顔つきはまだ若い。歳の頃はまだ二十歳前だろうか。
短くまとめた青い髪を軽く揺らして、女は再び洞窟の奥を覗き込む。
そこに、女が求めていた姿があった。
姿を一言で言うのならば、「巨鳥」。
天井に空いた大穴から差し込む太陽の光を浴びるその体は、朱色の艶を持っていた。
大きな嘴を持つ頭を左右に振れば、ぴんと立ち上がった大きな耳も揺れる。
体を持ち上げ、洞窟の中を見回すその鳥竜種の名を、女はそっと呟いた。
「イャンクック。あれが今回の討伐目的ねー……。聞いてた通りの姿だ」
一度頷いて、壁から身を剥がす。そして女はその場に腰を落とし、大きく息を吐いた。
頭の中に思い描くのは、これからの手順だ。
大丈夫、何度も予習してきたのだから、後はそれをそのままこなすだけ。
何度もそう言い聞かせて、自分の中に酸素を取り込んでいく。僅かに含まれた苔の匂いが、鼻を通って脳に刺激を送り込んできた。
体が膨らむ感覚とともに、背に負った相棒の硬さも、強く感じとれる。
肩越しにそれを振り返る。無骨な持ち手と、幅広の刃を持つ、鉄の塊がそこにあった。
薄暗い洞窟の中、微かな光を弾き、刃はその存在を誇示している。
その冷やかな光を見ているうちに、自然と呼吸が落ち着いてくるのがわかった。
「……よし。行こう!」
腰のポーチに手を入れ、目当てのものを掴み取る。
洞窟の中、目標の鳥竜が向こうへと振り返ったその瞬間、女は立ち上がり、洞窟の中へと飛び込んでいった。
《続く》